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糖尿病と過活動膀胱

 アステラス製薬、ベタニス錠についての勉強会に参加しました。

腎臓でできた尿は、尿管を通って膀胱に貯められます。尿がある一定以上に貯まり膀胱が膨れると、尿意を生じ、膀胱の筋肉が収縮することにより排尿します。

 

過活動膀胱とはこの排尿システムの中で膀胱が敏感になり、おしっこが貯めにくい、我慢が効かない、急に膀胱が収縮して失禁をしてしまうという病気です。

 

近年患者さんが急増しており、女性に多くみられる傾向があります。またこの時期寒くなってくると症状がでる方も多くいるようです。

症状として切迫感を伴う頻尿が中心で、時にはトイレに間に合わなくなって漏れるようなこともあります。つまりは膀胱の排尿する活動が過剰になっており、時には排尿の自制がきかず勝手に膀胱が排尿してしまうような病態です。

排尿をしたくなるとトイレまで間に合わなく失禁してしまう人もいます。夜間頻尿を主訴とする方もいます。

 

原因は様々な要因があり、神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因)、非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)、骨盤底筋のトラブルで女性の場合、加齢や出産によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることなどがあります。

 

それ以外の原因として、何らかの原因で、膀胱の神経が過敏に働いてしまう場合や、原因が特定できない場合もあります。いくつかの原因が複雑に絡み合っていると考えられています。この原因の特定できないものや加齢によるものが、実際には最も多く存在しています。

 

ベタニス錠は膀胱の平滑筋にあるβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱の弛緩を促進します。そうすることで、膀胱容量を増大させ、蓄尿機能を高めます。膀胱にそのまま作用するので、心血管系への影響は比較的少ないと考えられています。通常、25~50mgを1日1回食後に経口服用します。

 

トマト内科で過活動膀胱の勉強会?と思う方もいると思いますが、実は糖尿病の3人に1人は過活動膀胱で悩んでいる方がいるようです。糖尿病では高血糖の状態が続くと、のどが渇き水分摂取量が増え尿量が増えたりすることがあります。また糖尿病薬のSGL2阻害薬は血糖値が低下しますが、尿量を増やす作用があります。

 

糖尿病の症状や薬剤によって過活動膀胱との判断が難しい時期もあるようですが、糖尿病での血糖コントロールが良い状態で、SGLT2阻害薬を内服してから長く経過してるにもかかわらず日中の尿回数が8回以上、夜間1回以上、過活動膀胱の特徴として「急に、がまんできないような尿意が起きる」、「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、がまんができず尿が漏れてしまうことがある」といった症状がある場合は過活動膀胱の疑いがあります。

 

過活動膀胱では薬物療法以外に、行動療法としてトイレを少しがまんするのも一つの方法です。尿が溜まっていない状態での排尿を繰り返していると、次第に膀胱が小さくなってしまうため排尿回数が増えてしまいます。逆に尿意をがまんすると、膀胱の蓄尿量が少しずつ増え排尿回数も減少していきます。

 

骨盤底筋を鍛えるトレーニングも効果があるとされています。横になったり椅子に座った状態で、おなかや腰の体表面の筋肉は動かさずに、尿道や肛門、腟をおなかの中に引き込むように力を入れる動作を繰り返すトレーニング法です。

 

症状があっても「年だからしょうがないかなぁ」、「恥ずかしい」などの理由で病院・医院へ行って診断や治療を受けることなく、我慢したまま生活を続けている人も多いと思います。日々問診をしているとやはり患者様から夜間頻尿やトイレが近い、尿回数が多いといった訴えがあります。細かく症状を聴取するとともに、今後チェックシートを用いて症状の確認をし医師へ伝え早めの治療で症状の悪化を防げたらと思います。

 

お悩みの方は問診時にスタッフへご相談ください。

                                             

看護師 赤石澤