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2型糖尿病治療薬

 

発売されたばかりの、「トラディアンス配合錠」について院内勉強会がありました。

 

トラディアンス配合錠は、既に発売されているDPP-4阻害薬「トラゼンタ」とSGLT2阻害薬「ジャディアンス」との配合錠です。

単剤服用では血糖コントロール不十分だが両剤服用で血糖コントロールが安定する場合、に適応となります。

この配合錠の特徴は、

①唯一2規格あるDPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬の配合錠である(AP錠・BP錠)。

②日米欧の三極で唯一承認されているDPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬の配合錠である。

③1日1回1錠で優れたHbA1c低下効果がある。また、AP錠で効果不十分な場合は、BP錠へ切り替えることでHbA1cが低下する。

ということです。

その他の優れた点としては、SGLT2阻害薬の特徴でもある“体重減少効果”が期待できること、安全性です。

 

トラディアンスは2剤が合わせてありますが、大きくなっていないのは他剤に対するアドバンテージです。

 

糖尿病患者さんの約9割が、2剤以上の薬剤(糖尿病治療薬以外も含む)を服用しているという統計結果があるようです。

当院に通院されている内服治療中の患者さんにも、そのような印象があります。

薬の種類が多いと、内服時間や回数が異なり、“内服忘れ”の原因になります。配合錠は単剤同士の併用と比較して、内服アドヒアランスを改善することにより、更なるHbA1c低下効果が期待できます。

 

以上のように、トラディアンス配合錠には優れた点が多いため、トマト内科ではいち早く採用が決まりました。適応となる患者さんには積極的にお勧めしていきたい薬剤です。

 

また、SGLT2阻害薬内服中の水分補給についても補足的に説明がありました。

SGLT2阻害薬が発売された当初は、内服開始により尿量増加が見られるため、脱水予防として十分な水分摂取が励行されていました。しかし、投与初期に見られた尿量増加は持続的ではなく、かえって過度な飲水自体が尿量増加や頻尿に繋がることが分かってきたようです。そのため、投与初期は「喉が渇く前に水分を摂る」、投与継続期には「喉が渇いたら水分を摂る」ことが重要、とのことでした。

SGLT2阻害薬内服中の患者さんで、頻尿にお困りの方は珍しくありません。そのような場合、過度に飲水していることが原因ではないか、日々の問診で意識していきたいと思いました。

 

患者さんにより最適な治療を提供するため、薬剤の一長一短を理解することは、日々患者さんに接するスタッフにとって重要です。

今回の勉強会でも新しい見解を得ることができました。早速明日からの業務に活かしていきたいです。

 

管理栄養士 大西