· 

膵性糖尿病

 

 膵臓の疾患で起こる糖尿病を膵性糖尿病といい、1型2型いずれにも分類されません。2005年の調査では、膵性糖尿病は、人口1万人あたり1.5人で、決して少なくありません。原因は慢性膵炎40%、膵癌25%、などとなっています。

 

慢性膵炎は、長期間にわたって膵臓の炎症が持続することで、しだいに膵臓の働きが低下していきます。原因として最も多いのは長期間にわたり大量のお酒を飲むことですが、なかには原因がはっきりしない場合もあります。慢性膵炎になると、徐々に進行し、基本的に治ることはないとされています。

膵臓(すいぞう)はおなかの上の方、胃の後ろ側にある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器です。重量は80gくらいの小さな臓器ですが、重要な働きがあります。膵臓は血糖や消化液の量を調節するホルモン(インスリン、グルカゴンなど)を作って血液に出す「内分泌機能」と「膵液」という消化液を作って膵管から十二指腸に出す「外分泌機能」があります。

 

「内分泌機能」が低下することで膵性糖尿病が発症します。膵性糖尿病では血糖を下げるホルモン(インスリン)、血糖を上げるホルモン(グルカゴン)ともに不足するため高血糖、低血糖を起こしやすくなります。

 

「外分泌機能」が低下すると、膵液の中のアミラーゼ、リパーゼなどの多くの消化酵素の分泌が不足し、脂肪、たんぱく質、炭水化物の消化吸収障害が生じます。このため、脂肪便や下痢が起きやすくなります。また栄養不良になるため、痩せの進行、体力低下や、重症感染をおこしやすくなったりします。

 

膵性糖尿病では、内分泌、外分泌ともに低下していることが多く、問題でした。

 

 

 

 今回、リパクレオンというお薬の院内勉強会がありました。リパクレオンは、特別な豚の膵臓から抽出した膵消化酵素薬です。膵消化酵素の分泌が低下しているとき、リパクレオンを内服すると、脂肪吸収率が上がり、脂肪便を改善し、排便回数が減るそうです。また栄養状態も改善されるそうです。

 

医療面接にあたっては、膵性糖尿病の患者さんの、便の性状、体重変化など、いままで以上にしっかりお聞きしていきたいと思いました。

 

 

看護師 日村