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糖尿病,高血圧で増える認知症の発症

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症の治療について、院内勉強会がありました。

トマト内科にいらしてくださるような、高血圧、糖尿病の方に認知症の発症が多いとされ、トマト内科では、重要な疾患ととらえています。上の図にあるように、運動、食事、降圧薬はアルツハイマー型認知症の防御因子とされ、トマト内科で推進している活動をより強化していきたいと思います。

 

 

 認知症にはいくつかのタイプがあります。

アルツハイマー型認知症は、記憶力や判断力の低下により日常生活にさまざまな問題が起きてくる病気です。

現時点では、アルツハイマ一型認知症を元の状態に戻す治療法はないとされていますが、適切な治療で進行を遅らせることができます。

 

アルツハイマ一型認知症の治療はご本人が快適に暮らせるよう、またご家族や介護者の負担を軽くすることが治療の目的となります。主な治療には、ご本人の感情や興味を刺激し心の安全をはかる『非薬物療法』と、アルツハイマ一型認知症のお薬による『薬物療法』があります。

 

『非薬物療法』

ご本人が今出来ること、興味を持っていることを活かし快適な環境づくりを心掛けます。過去に慣れ親しんだ歌や玩具、道具などを利用し、人生を振り返ることでご本人の自己認識の回復をはかる『回想法』など、さまざまな療法があります。ご家族や友人とのコミュニケーションやデイサービス、グループホームでのおしゃべり、ゲームなども頭と心を活性化するための大切な刺激となります。

 

『薬物治療』

アルツハイマ一型認知症により失われた記憶や機能を回復させ、病気を完全に治すお薬はまだないため、症状の進行を遅らせるお薬、不安、妄想、不眠などの症状を抑えるためのお薬による治療が中心となります。薬剤を使用し進行を遅らせることは、ご家族と一緒に過ごす時間を長くし、またご家族、介護者の負担を軽くすることにもつながります。

 

脳は神経伝達物質を介して記憶・学習を行なっているのですが、アルツハイマー型認知症では神経伝達物質の1つであるアセチルコリンが脳内において減少していることが知られています。

 

「レミニール」(一般名:ガランタミン臭化水素酸塩)は軽度及び中等度のアルツハイマ一型認知症に適応がある薬物の1つです。

レミニールの有効成分であるガランタミンは、

■アセチルコリンエステラーゼ阻害作用

■アセチルコリン受容体に対するアロステリック増強作用

により脳内アセチルコリン濃度を上昇させ、認知症の行動・心理症状(BPSD)の進行を抑制するそうです。

 

 

 

2025年には65歳以上の高齢者は約5人に1人が認知症を発症する推計になっています。

認知症のうち、アルツハイマ一型認知症が最多で、6割程度を占めます。

アルツハイマ一型認知症は、元に戻すことができない疾患ですが、治療で進行を遅くすることができます。

したがってアルツハイマ一型認知症は早期に発見し、正しい治療を始めることが、とても重要です。

 

気になる症状がある方は、スタッフまでご相談下さい。

患者様ご本人がどれだけ辛く、切ない思いを抱えて病と向き合っているのか。介護をされているご家族が、どんな思いでいらっしゃるのか。お気持ちに寄り添い、前向きな治療のお力になれましたら、幸いです。

 

 

管理栄養士   船山