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インスリンアナログ製剤

持効型溶解インスリンアナログ製剤であるランタスXR注ソロスターとアプルウェイの勉強会がありました。

 

糖尿病治療では、血糖のみならず、血圧、脂質を適正に保っことで、神経障害、網膜症、腎症などの進展を最小限に抑えることが目標になります。

 

血糖を適正に保つ上での、インスリン療法は、インスリン分泌不足を直接補うもので、作用発現時間および作用持続時間などによって様々なインスリン製剤が使用されています。中でも持効型溶解インスリンアナログ製剤は、ヒトでのインスリンの基礎分泌を補うものです。

 

持効型溶解インスリンアナログ製剤であるランタスXR注ソロスターは既存のランタスを3倍に濃縮することで、11回の注射でも24時間以上にわたって長く平坦な効果が得られるようになったそうです。その結果、日本人の2型糖尿病患者さんを対象に行われた臨床試験では、ランタスXR群ではランタス群と比較してHbA1c低下効果は不変でしたが、24時間の低血糖が36%減少、夜間低血糖が59%減少したとのことでした。

 

良いことだけではありません。トマト内科でもランタスXRを使っていますが、長く効きすぎるための副作用として、減量しても次の日まで深夜の低血糖が続いた患者さんがいらっしゃいました。特にご高齢の方の低血糖は認知症や心筋梗塞のリスクと言われていますので、注意が必要です。トマト内科では36時間以上にわたって効果の持続する長時間作用型の持効型溶解インスリンアナログ製剤の高齢者の方への使用は、慎重です。

 

 

 

 

 2型糖尿病治療剤アプルウェイの名前の由来はアプル(Apple)+ ウェイ(道・方法)だそうです。SGLT2阻害薬はリンゴの樹皮から抽出した「フロリジン」を起源とし、創薬されましたが、このアプルウエイは、まさしくそのSGLT2阻害薬です。

 

SGLT2というのは腎臓の近位尿細管にあり、尿から糖分(ブドウ糖)を体内に再吸収するはたらきを持つ輸送体です。糖尿病の方では、体内の糖分が過剰になってしまっています。この時、SGLT2のはたらきをブロックすれば、余分な糖分は尿からそのまま排泄されるため、体内の糖分を減らすことができます。SGLT2阻害薬は余分な糖分を尿と一緒に排泄するお薬ですので、血糖を下げすぎてしまう危険(低血糖)も少ないです。

 

くつかあるSGLT2阻害薬のなかで、アプルウェイの特徴に「半減期が短い事」が挙げられます。アプルウェイの半減期(約5.4時間)はSGLT2阻害薬の中でも最短クラスだそうです。これはお薬の作用時間が短いという事です。

 

SGLT2阻害薬で尿量増加がみられることがあり、朝飲んでも夜中まで効果が続くSGLT2阻害薬だと夜間尿量が増え夜間頻尿・不眠が生じるそうです。そのようなリスクがアプルウェイでは作用時間が短いため、少ないそうです。SGLT2阻害薬を使っていらっしゃる方で、夜間頻尿に困っていらっしゃる方は、毎回の相談コーナーでお声がけください。

      

 

看護師 日村